皮膚はカサカサで感染のリスクが高まる

皮膚の「バリア機能」という言葉をよく耳にしますが、皮膚は常にph4.5～6.5の弱酸性に保つことによって微生物の増殖を防いでいます。バリア機能が正常に働かなければ肌はカサカサで常に乾燥し、異物の侵入を許してしまうため、感染のリスクと隣り合わせで生活しなければなりません。

汗や不要な老廃物が体内に蓄積される

皮膚は老廃物の排出という重要な役割も担います。皮膚の汗腺から分泌される汗で不要な老廃物が体の外に出る仕組みが備わっているのです。このような仕組みがなければ老廃物は体内に蓄積され、体の不調に影響する可能性もあります。

痛み・温かさ・冷たさなどがわからない

皮膚には「触・圧・痛・温・冷」を感じる受容器があり、刺激を受けその信号が知覚神経から大脳へ伝わり、それぞれの感覚として感じる仕組みになっています。この機能が正常に働かなければ、痛い、熱い、冷たいといった感覚がわからないため、知らず知らずのうちにやけどや怪我といったトラブルを起こす可能性もあるのです。

このように、肌は様々なリスクやトラブルから体を保護してくれる重要な役割を担っています。

NMF

NMFとは「ナチュラルモイスチュアライジングファクター」の略称で、肌の角質層に多く存在する天然保湿因子のことをいいます。NMFはアミノ酸類や尿素、クエン酸塩、乳酸、PCA（ピロリドンカルボン酸）など様々な成分の総称です。十分なNMFがあり細胞間脂質とバランスがとれた状態の肌は、角質層の並びも美しく保たれます。一方でNMFが不足した肌は角質細胞のバランスが崩れてしまい、乾燥や肌荒れなどを起こしやすい肌になってしまうのです。

細胞間脂質

角層細胞の隙間を埋めるように存在するのが細胞間脂質です。主に外的刺激から保護したり、体内の水分が蒸散しすぎるのを防いだりしています。脂肪酸やコレステロールなどを含み、約50％はセラミドという油溶性の成分です。セラミドはラメラ構造でセラミド同士の間に水分を閉じ込めて保湿する役割があります。一方セラミドが不足している肌では、保湿成分たっぷりの化粧水を使ってもすぐに肌が乾燥してしまうでしょう。このような場合は必ずしもよいスキンケアアイテムを使えばよいということではないのです。

皮脂膜

皮脂膜とは、皮脂腺から分泌される皮脂と汗腺から分泌される汗とが合わさってできる膜のことで、天然の保湿クリームと称されます。皮脂膜は皮脂と汗（水分）のバランスが大切で、両方のバランスが保たれた皮脂膜で覆われた肌は弾力があり、もっちりとしているのが特徴です。また、厚みはわずか0.02mmと薄いのにもかかわらず、水分の過剰な蒸散を防いで乾燥や刺激から皮膚を守る働きを担っています。皮脂膜は洗顔などでゴシゴシと擦ることで取れてしまい、肌のカサつきにも影響するため皮脂膜を補充してくれる化粧品を試してみるのもよいでしょう。